皆さん、こんにちは。
兵庫県神崎郡を拠点に、左官工事・コンクリート工事・床研磨工事を手掛けている桑路建塗株式会社です。
工場の脱炭素化を進めるために、太陽光発電や省エネ設備の導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
一方で、建物の改修工事に使用する資材や工法まで見直している工場は、まだ多くありません。
環境に優しい工場を目指すうえでは、単に「環境配慮型」と表示された建築資材を選ぶだけでなく、製造・施工・維持管理・撤去までの流れを含めて考えることが重要です。
この記事では、工場で環境に優しい建築資材・工法を選ぶ際のポイントと、既存のコンクリート床を活かす床コンクリート研磨について解説します。
【目次】
- 工場で環境に優しい建築資材・工法が求められる背景
- 環境に優しい建築資材・工法を選ぶ5つの基準
- 工場床の修繕で発生する環境負荷
- 既存床を活かす床コンクリート研磨
- 床コンクリート研磨が環境負荷の低減につながる理由
- 床研磨をESGの取り組みとして伝えるポイント
- 環境性能だけで工法を決めてはいけない理由
- まとめ
■工場で環境に優しい建築資材・工法が求められる背景
日本では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建築物の省エネ性能だけでなく、資材の製造から建設、使用、修繕、解体までを含めた環境負荷の削減が重視されています。
国土交通省でも、建築物の計画から解体までに排出されるCO2を評価する「建築物LCA」の制度化に向けた検討が進められています。
これまでの工場における環境対策は、照明のLED化や空調設備の更新、太陽光発電設備の導入など、工場を使用する段階の省エネが中心でした。
しかし、建築物から発生するCO2には、使用中の電力だけでなく、建築資材の製造、運搬、施工、修繕、廃棄などに伴う排出も含まれます。
そのため、工場の改修工事でも「何を使うか」だけでなく、「どれくらい長く使えるか」「将来どれだけ廃材が出るか」まで考える必要があります。
参考:国土交通省「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」
■環境に優しい建築資材・工法を選ぶ5つの基準
環境に優しい建築資材や工法を比較する際は、「環境配慮型」という言葉だけで判断しないことが大切です。
工場の改修では、次の5つの基準を確認しましょう。
・製造や運搬時の環境負荷
建築資材を製造するには、原料やエネルギーが必要です。
さらに、工場まで資材を運ぶ際にも燃料が使われます。施工面積が広く、使用する材料が多いほど、製造や運搬に伴う負荷も大きくなる可能性があります。
材料単体の性能だけでなく、工事全体でどれだけの材料を使用するのかを確認することが重要です。
・施工時に発生する廃材
既存の床材や塗膜を撤去する工事では、撤去した材料が廃棄物になります。
新しい床を施工する前に既存床を全面撤去する場合は、廃材の処理に加えて、搬出や運搬も必要です。
国土交通省の建設リサイクル施策でも、建設廃棄物についてはリサイクルだけでなく、まず発生自体を抑えることが基本的な考え方として示されています。
・長期間使用できるか
施工直後の環境性能が高くても、短期間で劣化し、何度も再施工が必要になれば、そのたびに材料やエネルギーを使用します。
工場の床は、人の歩行だけでなく、台車やフォークリフト、機械設備、油、水、薬品などの影響を受けます。
そのため、床材を選ぶ際は、初期費用だけでなく、使用環境に耐えられるか、長期的に使用できるかを確認する必要があります。
・メンテナンスの頻度
床の塗り替えや張り替えには、材料費や施工費だけでなく、施工エリアの養生や工場の稼働調整も必要です。
頻繁な補修を避けられる工法であれば、長期的には材料の使用量や廃材、工場停止時間を抑えられる可能性があります。
・既存の建物を活用できるか
環境負荷を抑える方法は、新しい環境配慮型資材を導入することだけではありません。
現在ある床や建物をできる限り活用し、必要な部分だけを改修する考え方も重要です。
環境省が示すサーキュラーエコノミーの考え方でも、修理や長寿命化、再利用などによって、資源を効率的かつ循環的に利用することが重視されています。
■工場床の修繕で発生する環境負荷
工場の床は、日々の荷重や走行、洗浄、油や薬品などによって劣化します。
表面の剥がれやひび割れ、穴、段差が発生すると、安全性や作業効率を維持するために補修が必要です。
一般的な塗り床では、既存塗膜の状態によって、剥がれた部分の除去や下地処理、新しい塗料の施工が必要になります。
塗り床そのものが環境に悪いという意味ではありません。耐薬品性や耐熱性、色分け、防滑性など、塗り床でなければ対応しにくい環境もあります。
ただし、同じ場所で剥がれや再施工を繰り返している場合は、現在の床材や工法が使用環境に適していない可能性があります。
数年ごとに撤去と再施工を繰り返せば、そのたびに材料の製造、運搬、施工、廃棄が発生します。
環境負荷を考える際は、1回の施工だけでなく、将来の補修まで含めて比較することが大切です。
■既存床を活かす床コンクリート研磨
床コンクリート研磨とは、コンクリートの上に新しい床材を貼ったり塗ったりするのではなく、既存のコンクリート表面を研磨して仕上げる工法です。
専用の機械と研磨工具を使用し、表面の状態を整えながら段階的に磨いていきます。
研磨の深さや工程によって、コンクリート表面の細かな質感を残した仕上げから、内部の骨材を見せる意匠性の高い仕上げまで調整できます。
桑路建塗では、コンクリート床研ぎ出し鏡面仕上げである「HTCスーパーフロア」に対応しています。
コンクリート本来の素材感を活かしながら、光沢感と耐久性、清掃性を備えた床に仕上げられることが特徴です。
ただし、すべての古い床をそのまま研磨できるわけではありません。
大きなひび割れや穴、段差、油の深い染み込み、コンクリート自体の強度不足がある場合は、事前の補修や別の工法が必要になることもあります。
桑路建塗の仕事や職人の働き方についても、よろしければご覧ください。
■床コンクリート研磨が環境負荷の低減につながる理由
・既存のコンクリートを仕上げ材として活用
床コンクリート研磨では、建物を支えている既存のコンクリート床を、そのまま仕上げ面として活用します。
新たに厚い床材を重ねたり、床全体を撤去して造り直したりする工法とは異なり、既存資産を活かしやすいことが特徴です。
そのため、現場の状態や施工内容によっては、新たに使用する材料の量を抑えられる可能性があります。
・塗膜の剥離による再塗装を回避
研磨仕上げには、表面を覆う塗膜がありません。
そのため、塗膜そのものが浮いたり、めくれたりする剥離は発生しません。
工場で塗り床の剥がれを繰り返している場合は、塗料を重ねる以外の選択肢として検討できます。
ただし、コンクリート自体のひび割れや欠損が発生しなくなるわけではありません。下地の状態を調査し、必要な補修を行うことが前提です。
・将来的な廃材の抑制
塗膜やシート材を使用しなければ、将来それらを剥がして処分する必要もありません。
再施工の回数を抑えられれば、長期的には改修に伴う廃材や材料の使用量を減らせる可能性があります。
ただし、具体的なCO2削減量は、施工面積、既存床の状態、比較する工法、工場までの運搬距離などによって異なります。
床研磨を採用しただけで、一定量のCO2が必ず削減されると断定することはできません。
■床研磨をESGの取り組みとして伝えるポイント
床コンクリート研磨は、それ自体が直接「ESG投資の対象」になるわけではありません。
ESG投資では、企業が公開する環境・社会・ガバナンスに関する非財務情報などをもとに、企業の取り組みが評価されます。
したがって、床の改修工事をESGへの取り組みとして伝えるには、「環境に優しい工法を導入した」と述べるだけでは不十分です。
施工前後の情報を記録し、具体的に説明できる状態をつくることが重要です。
たとえば、次のような項目が考えられます。
- 研磨した床の面積
- 撤去せずに活用した既存床の範囲
- 発生した廃材の種類と量
- 従来の補修頻度
- 施工後の補修やメンテナンス状況
- 施工前後の照度
- 照明の点灯数や電力使用量
ESG評価では企業が開示する情報が利用されるため、取り組みの名称よりも、方針、実施内容、結果を継続的に記録することが大切です。
また、根拠のない削減効果を掲載すると、実態以上に環境へ配慮しているように見せる「グリーンウォッシュ」と受け取られるおそれがあります。
数値を算定していない場合は、「CO2を削減した」と断定せず、「既存床の活用や廃材抑制を目的に採用した」と、確認できる事実を伝えましょう。
現在の床の状態や適した施工方法を知りたい方は、まずは気軽にご相談ください。
■環境性能だけで工法を決めてはいけない理由
環境負荷が少ないと考えられる工法でも、工場の使用条件に合っていなければ、安全性や品質を維持できません。
床材や工法を決める前に、次の条件を確認する必要があります。
- フォークリフトや重量車両が走行するか
- 油や薬品を使用するか
- 熱水や高温洗浄を行うか
- 床が濡れることが多いか
- 衛生管理や防滑性が求められるか
- 現在の床にひび割れや段差があるか
- 施工中に止められる範囲と期間
- 求める色やデザイン
たとえば、強い耐薬品性や耐熱水性が必要な工場では、用途に適した樹脂系塗り床が有効な場合があります。
一方で、塗膜の剥がれや再施工を繰り返している工場では、塗膜を使用しないコンクリート研磨が適している可能性があります。
環境性能、耐久性、安全性、施工期間、維持費を総合的に比較しましょう。
■まとめ|材料だけでなく改修後の維持管理まで比較
工場で環境に優しい建築資材・工法を選ぶ際は、施工時に使用する材料だけを見て判断するのではなく、製造、運搬、施工、維持管理、撤去までを含めて考えることが重要です。
既存のコンクリート床を活かす床研磨は、新しい床材の使用や塗膜の再施工を抑えられる可能性があり、工場床の環境負荷を見直す際の選択肢になります。
ただし、具体的な効果は床の状態や使用環境によって異なります。
桑路建塗では、左官・コンクリート工事で培った技術を活かし、既存床の状態を確認したうえで、適した施工方法をご提案します。
塗り床の剥がれや繰り返す床補修でお困りの方は、まずは現在の床の状態についてお気軽にご相談ください。

